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神なるオオカミ

【神なるオオカミ】  (上・下巻)
著者:姜 戎 (ジャン ロン)、 訳者:唐 亜明 (タン ヤミン)、訳者:関野 喜久子

[下巻 146ページ]

 「オオカミの遠吠えを聞いて、モンゴル民謡に顫音(せんおん)とのばす音がどうして多いかがわかった。漢民族の民謡とずいぶん異なるモンゴル民謡は、オオカミ・トーテムを崇拝した匈奴(きょうど)から伝わってきたと、僕は推測してる。歴史書にもそういう記録がある。大昔、匈奴の単于(ぜんう)に二人の美しい娘がいて、次女のほうが望んでオオカミに嫁いで、たくさんの子どもをもうけたと、『魏書(ぎしょ)』の『匈奴伝』に書かれてるよ。原文は、”妹は……オオカミの妻となり、子をもうけた。しだいに増えていって国をつくった。その国の人々は歌をうたうと長くのばして、オオカミの遠吠えに似ている”というんだ。」



[下巻 147ページ]

 「オオカミ・トーテムを崇め敬う民族は、きっとオオカミのすべてを最大限に学び、まねるだろう。たとえば、狩りの技法、音声の伝達、作戦のテクニック、戦略戦術、戦闘的性格、集団的精神、組織の規律、忍耐、ボスの競争、強者が王になる、権威に服従する、家族と同族を愛する、草原を守る、空を仰ぎみて天(タンゴル)を敬う、などなど。だから、モンゴル人の音楽や歌は、必然的にオオカミの遠吠えから影響をうけたのだろう。あるいは意図的に学習したのではないかと、ぼくは考えている。草原のすべての動物、牛、羊、馬、犬、黄羊、タルバガン、キツネなどの鳴き声には、こんなに長くのばすものはない。オオカミの歌とモンゴルの民謡にしか、そういう音がない。気をつけて聞いてみて。似てるだろう」と、陳陣(チェンジェン)はいった。
 楊克(ヤンカー)はうなづいた。「確かに似てる。聞けば聞くほど似てるように感じる。きみがいわなければ、そこまで考えなかったよ。胡松華(フウソンファ)(訳注:北京出身の満州族の声楽家。1930年-)が歌ったモンゴルの『賛歌』は、最初の部分の起伏と顫音(せんおん)と、あの長くのばす歌い方が、まさにオオカミの遠吠えをまねたものだ。この二年間、たくさんのモンゴル民謡を聞いてきたけど、長い顫音(せんおん)、起伏、のばす音のないもはなかった。残念なことに、テープレコーダーをもってないからな。もしオオカミの遠吠えとモンゴル民謡を録音して比較すれば、きっと関係がわかると思うよ」


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